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「都心回帰」から「都心でどう快適に暮らすことができるか」がテーマに

 東京23区のマンション供給が過去最多を更新するなど、都心に近い大規模・超高層物件が市場を牽引(けんいん)し、「都心回帰」という現象はすっかり定着した形だ。都心の24時間サービスをフルに利用できる都心マンションは、いわば時間消費型の居住スタイルに最もマッチした居住形態といえるが、ファミリーマンション居住者の中には“生活の場”としての都心暮らしに戸惑いを見せる者も少なくない。ニューヨークなどと異なって、都心生活がまだ成熟期に達していないためだ。

 「都心回帰」は首都圏ほど顕著ではないが、近畿、中京、福岡と全国的に起こっている現象だ。その牽引役となっているのが、タワーマンションに代表される大規模・超高層物件である。首都圏を例にとると、都心3区とそれに隣接し臨海部を有する品川区と江東区の計5区のマンション供給戸数は2004年で1万4141戸と2000年と比べて4601戸増加している。中でも東京湾岸エリアでの供給増が目立っており、港区と江東区は2004年にはそれぞれ5000戸に迫る勢いで大幅に拡大した。また、23区全体に占めるシェアも2000年の27.0%から2004年には36.1%と、9.1ポイント増加し、都心居住が急速に進展していることを裏付けている。

 総じて都心マンションは売れ行きも好調だ。確かに“生活の場”としての都心は、魅力にあふれている。マンションから一歩外に出れば、劇場や映画館、買い物や食事を日常的に楽しめるデパートやレストランなどが豊富にあり、非日常性にあふれた繁華街が広がっている。また、地下鉄などの交通機関が発達している都心は、帰宅が遅くなっても苦にならない。しかも翌日の通勤時間は短い。都心はこれらのメリットを一番享受できる場所だ。

 このように、“働く場”だけでなく、“生活する場”として都心的利便性を求める層は、世帯形態やライフスタイルの変化から、今後も加速することは間違いないだろう。ただ、内閣府や東京都の「住宅に関する世論調査」にあるように、一部の都心居住者には地域のコミュニティーが希薄であることなどから、都心に住むことの不安や戸惑いが見て取れる。都心の利便性だけに注目し、都心の暮らし方を身に着けていないファミリータイプの購入者に多く見られる。

 したがって、2005年からの開発コンセプトは、「都心回帰」から無形の資産である「時間」をキーワードに、“都心でどう快適に暮らすことができるか”が大きなテーマになりそうだ。ディベロッパーにとっては都心暮らしを志向する多様な世帯層に向けての新たな生活提案が課題になる。また、ユーザーにとっても都心暮らしに対する一層の自己管理と目的意識が求められることになるだろう。

2005年02月04日 asahi.com

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